ミドルウェアとは
ミドルウェアとは、コンピュータの基本的な動作を管理するOS(オペレーティングシステム)と、特定の業務処理を行うアプリケーションソフトウェアの中間に位置するソフトウェアの総称です。両者の間に立ち、処理の受け渡しや補助を行うことで、システム全体の円滑な動作を支えます。
アプリケーションとOSの中間に存在するソフトウェア
コンピュータのソフトウェアは、ハードウェアに近い層から「OS」「ミドルウェア」「アプリケーション」という階層構造で構成されるのが一般的です。OSはWindowsやLinuxのように、ハードウェアの管理や基本的な入出力機能を提供します。
一方、アプリケーションは特定の目的(文書作成、会計処理など)を達成するためのソフトウェアです。ミドルウェアは、このOSとアプリケーションの間に位置し、OSが提供する基本的な機能だけでは不足する、より専門的で汎用的な機能を提供します。いわば、OSとアプリケーションの「通訳」や「縁の下の力持ち」のような存在といえるでしょう。
特定の処理や動作を補助する役割
ミドルウェアの主な役割は、アプリケーションが共通して利用する機能を提供することです。たとえば、Webサイトを表示する機能や、データベースと連携してデータを読み書きする機能などが該当します。
これらの機能をミドルウェアが担うことで、アプリケーション開発者は複雑な処理を自身で一から作る必要がなくなります。その結果、本来のビジネスロジックの実装に集中でき、開発の効率化と品質向上につながるのです。
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ミドルウェアを利用するメリット
ミドルウェアを導入することで、システム開発や運用において多くのメリットが得られます。ここでは、代表的な3つのメリットを解説します。
開発コストの削減と効率化
ミドルウェアは、多くのアプリケーションで必要とされる共通機能を提供します。たとえば、データベースへの接続やWebサーバとの通信処理などです。これらの機能を個々のアプリケーションで開発すると、多大な時間とコストがかかります。
ミドルウェアを利用すれば、こうした汎用的な機能を自前で開発する必要がなくなり、開発者はアプリケーション固有の機能開発に専念できます。結果として、開発期間の短縮とコスト削減につながります。
OSやハードウェアの差異を吸収
OSやハードウェアにはさまざまな種類があり、それぞれ仕様が異なります。ミドルウェアはこれらの環境による差異を吸収する役割も担います。これにより、アプリケーションは特定のOSやハードウェアに依存することなく動作しやすくなります。
たとえば、あるミドルウェアがWindowsとLinuxの両方に対応していれば、その上で動くアプリケーションはどちらのOSでも同じように動作させることが可能です。これをマルチプラットフォーム対応と呼び、システムの柔軟性や拡張性を高めるうえで重要です。
高度な機能を手軽に利用できる
ミドルウェアは、Webシステムに不可欠な通信機能や、セキュリティ管理、大量のデータを扱うトランザクション処理など、高度で専門的な機能を提供します。これらの機能を自社で開発するには、深い専門知識と技術力が必要です。
専門のベンダーやコミュニティによって開発・提供されるミドルウェアを活用することで、こうした高度な機能を比較的容易にシステムへ組み込めます。これにより、システムの信頼性や安全性を効率的に高めることが可能です。
なお、ミドルウェアを活用して効率的にシステム開発を進めるためには、開発環境を整えることも重要です。 開発ツールの中には、ミドルウェアとの連携機能や開発を支援する機能が豊富なものもあります。「自社に合う製品を診断してみたい」、「どんな観点で選べばいいかわからない」という方向けの診断ページもあります。
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ミドルウェアの種類
続いて、ミドルウェアの種類を解説します。
Webサーバ
Webサーバはブラウザからのリクエストに応じてWebページを送信するミドルウェアです。普段パソコンやスマートフォンなどのコンテンツを目にすることは多いでしょう。それらは、Webサーバから集まった文字や画像を表示したものです。リクエストされたコンテンツがいつ見ても同じ静的なものであれば、Webサーバ内に保存されているものがそのまま送信されます。
一方、見る人や時間により内容が変わる動的コンテンツをリクエストされた場合は、その都度アプリケーションサーバに要求します。動的コンテンツとは変動するものを指し、ECサイトのポイントやショッピングカートなどが挙げられるでしょう。
アプリケーションサーバ
アプリケーションサーバはWebサーバからのリクエストに応じ、アプリケーションによって動的コンテンツを生成するミドルウェアです。アプリケーションはJavaやPHP、Rubyなどの言語で作成されます。
アプリケーションサーバだけでリクエストに応じられない場合は、データベース管理サーバにリクエストして情報を取得しなければなりません。例えば、データベースに保存されている顧客データを必要とするリクエストを受けた場合などです。
データベース管理サーバ
データベース管理サーバとは、データベース管理システムが作動するサーバのことです。 データ自体はデータベース管理サーバに保存されているのではありません。あくまで、ストレージから必要な情報を取り出したり、書き込んだりするのがデータベース管理サーバの役割です。
データベース管理サーバはアプリケーションサーバからリクエストを受け、データベース言語であるSQLを利用して必要な情報を抽出、送信します。
ここまでに紹介してきたWeb・アプリケーション・データベース管理サーバからなる構造を「Web3層構造」や「3階層システム」と呼びます。セキュリティの高さや管理のしやすさ、故障の際の復旧が早いことから、大規模システムで広く採用されている方式です。
システム運用で使われる「運用ミドルウェア」の役割
ミドルウェアはOSとアプリケーションの中間的な存在です。しかし、システムの運用に使われる「運用ミドルウェア」は異なります。これはOS上に存在しますが、その上にアプリケーションを必要とせず、それ自体がアプリケーションとして機能します。
では、この運用ミドルウェアの役割を見ていきましょう。
システムのバックアップ
システム運用において、データの消失は極めて大きな脅威です。
例えば、ECサイトでは購買情報、ネットバンキングにおける口座情報などは、システムを維持する上で不可欠です。定期的にバックアップをとり、データ消失に備えなければなりません。
運用ミドルウェアはバックアップの役割を担います。バックアップする対象(データ、アプリケーション、ログなど)の確定だけでなく、更新頻度などにあわせバックアップを実施する時間帯も慎重に設定する必要がるでしょう。
さらに、バックアップ先の保存媒体の管理も大切です。どの媒体にも長所・短所があるため、それらを考慮したうえで最適なものを選択します。
ジョブ運用の効率化
ジョブとは、定型的な作業のことです。システムを運用する中では、バックアップやログの取得、サーバ再起動など、多くのジョブが発生します。これらをその都度手動で作業していたのでは、大きな負担となるでしょう。
そこで、運用ミドルウェアにこれらのジョブを任せます。あらかじめ処理の手順やスケジュールを設定しておけば、ジョブ運用を自動化できます。
システムの監視
システムに障害が発生した際には、いち早く発見することが肝要です。そのため、以下の監視を行う運用ミドルウェアが存在します。
- ノード監視
- サーバやストレージ、ネットワーク機器などの稼働状況を監視
- リソース監視
- メモリやCPU、ディスクなどの使用状況を監視
- プロセス監視
- サーバが起動しているか、サービスが止まっていないか監視
- ログ監視
- OSやミドルウェアのログに異常がないか監視
高可用性クラスタによるサーバ冗長化
冗長性とは、障害発生時にもシステムを維持できる性質のことで、システムの冗長性を高めることを冗長化といいます。具体的には、同じ機能のサーバを複数用意するなどします。
そして高可用性クラスタとは、非常時にサーバを予備のものに切り替える仕組みのことです。自動的に同じ機能のサーバへ切り替えをすることで、システム停止を防げるでしょう。
まとめ
ミドルウェアはアプリケーションとOSの中間に存在するソフトウェアです。システム構築には必要な知識となるので理解しておきましょう。ミドルウェアには以下の種類があります。
- ■Webサーバ
- ■アプリケーションサーバ
- ■データベース管理サーバ
また、システム運用に使われる運用ミドルウェアには以下の役割があります。
- ■バックアップ
- ■ジョブ運用の効率化
- ■システムの監視
- ■高可用性クラスタによる冗長化
以上を踏まえ、サーバ構築時にミドルウェアを有効活用しましょう。開発ツールを検討の際は以下より資料請求も可能です。


